プチ・シニアの明るいひきこもり生活

「街の灯」の原題はなぜ “City Lights” と複数形なのか・・?

      2016/01/31

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 お恥ずかしい話だけど、実はチャップリンの映画って通してみたことがなかった。「独裁者」とか「黄金狂時代」とか録りっぱなしで見ていない。今回、自分の中の企画、「古い映画を見よう」がなかったら、見るのはもっと先になっていたんじゃないかな。こういう自分に対する縛りみたいなのも時には有益なのかもしれない。

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 チャップリンの中でも「街の灯」は、どうも情緒的に訴える映画っぽい感じがして、特に敬遠していたんだけど、あえてそこから入ってみることにした。よく、コメディアンが年をとって急に人格者っぽい言動に向かっていくのがどうもあまり好きになれないんだけど、よく知らないくせにチャップリンがその先駆者、っていう思い込んでいたせいかもしれない。

 結果的にはすごく面白かったんだけど、映画の大半がコメディで、しかも、無声映画なので、「情緒的」っていうのはすごく抑えられていると思った。私の勝手な思い込みは間違っていたと思った。

 見終わって、少ししてから、「あれ、『街の灯』ってタイトルだけど、ほとんどそんなシーンなかったじゃん」てふと思って、よくよく考えて初めて、あーそうか、って納得した。主人公が「街の灯」なんだ。なるほど。(そんなことも気づかず見てたのかよって言われちゃうかもしれないな…)

 ラストのシーンがハイライト的に思えちゃうけど、盲目の女性とのシーンは思っていたよりずっと少ないし、ほぼ全編にわたるコメディで、この女性だけでなく、街の人全体を明るくしてってことなのか、って納得した。

 冒頭の、モニュメントの除幕式のシーンは、権威的なものへの風刺が込められているじゃないかな。街を良くするのは、そんな仰々しい銅像とか儀式とかではなくて、一人ひとりの人間なんじゃないか、ってね。

 って書いていて、ふと原題は “City Lights” だと思い出した。灯が複数形なんだね。

 さっき、上で主人公って書いたけど、そうじゃなく、街を照らすのは平凡に日々を過ごす市井の人々ってことなんだと、ここでやっと決着した、自分の中で。

 私が一番好きなシーンは、盲目の彼女をエスコートしようとして腕ではなく花カゴに腕を通してしまうところだ。こういうさりげないシーンがいい。

 近いうちに、他の作品を見てみようかな。それにしても、これって1931年公開なんだね、なんかすごいな。


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