無職の私が「ソニーの配当無配」のニュースについて考えた
2015/08/30
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ソニーの上場以来初の配当無配のニュースをやっていた。別に株も持ってないし、経済的な事象には全く無関心な人間なので、この手のニュースは普段なら無視なんだけど、ちょっと寂しい気がするのは、懐かしさかもしれない。
ソニーといえば、個人的にはやはり初代ウオークマンだ。今の人にはわからないと思うけれど、あれは革命だった。音楽を持ち運べるようになる、というのはそれまで考えられないことだったのだ。
もちろん革命がすべての面でプラスの作用するかというとそんなことはない。ウオークマンのせいで、音楽をBGM的に聞くようになってしまった。ステレオの前に座って、じっくり聞くっていう時間が極端に減っていった、明らかに。少なくとも、私の場合は。ま、これは別の話。
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テレビのニュースでは、ソニーの「設立趣意書」というのを紹介していた。
「真面目ナル技術者ノ技能ヲ最高度ニ発揮セシムベキ
自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設」 設立趣意書
すごくいい。「自由闊達ニシテ愉快ナル」ってところが素晴らしい。
実は、これを見て、以前読んだ内田樹の文を思い出した。企業の「栄枯盛衰」について記した文だ。長くなるけど、引用しようと思う。
創業者というのは、既存の企業が試みなかったビジネスモデルを考え出したわけであるから、創意発明の才には事欠かない。そこそこの能力がありながら、あえて宮仕えの道を嫌って独立独歩のリスクを取ったわけであるから、自立心も旺盛である。
創業者が優秀であれば、ビジネスは成功し、企業は急成長する。(中略)
この急成長の過程では毎月のように「人手が足りない」という事態が出来する。そこでこの「猫の手も借りたい時期」に、そこらへんでウロウロしている、「猫の手よりは、ちょっとましか」的な半分プーのような若者たちがどやどやとこの企業に入ってくることになる。創意発明の才や自立心は創業者ほどには備わっていないが、もとが「半プー」なので、その時代のドミナントな価値観にはなじみが悪く、ちょっとひねくれ者で、結構怪しい人脈やら、意外な裏技などを持っている。急成長しているので、バイトのつもりできたらいつの間にか深みにはまってしまったこの手の若者たちが数年すると管理職になり、企業の中核部隊になる。
ここまでは企業としてたいへんけっこうな展開である。ところが、このあと事情が一変する。
この「ドミナントな価値観に馴染みが悪く」っていう表現がいいなぁ。
このあと、有名になったこういう会社の入社試験には、いわゆる有名大学卒がごまんとやってくるっていうことが書かれている。
よほどポリシーがしっかりしている企業の他は、すべてこの道を歩むことになる。つまり創業者たちのような自立心もないし、急成長期の社員のようなデタラメさもない、「大きな権力、多くの情報、高い賃金」にこそ価値があると信じて疑わない模範的な「イエスマン」たちがほぼ排他的に新入社員群を形成することになる。
こうして、企業は「ガッツのある創業者」「お気楽な管理職」「まじめな新入社員」の老荘青の彩なす美しいトリコロール状態のその全盛期を迎え、そして創業者世代、お気楽世代が引退し、全車が「イエスマン」だけになったときに例外なく一直線に衰退へと向かうことになる。(中略)
職場というのは、様々なファクターが混在している時に一番活気がある。これはだれでもわかることだ。しかし、そうやって繁盛している組織にあとから集まってくる個体は、「うまそうな話がある」ということに釣られて集まってくる「うまそうな話」思考、知り追求型の個体であるから、その組成において均質性が高い。そのようにして、わずか数世代で、どのように活気があって均質的な組織も、上から下まで、権力と情報と賃金「だけ」にしか関心のない個体に湿られてしまうからである。
ソニーが当てはまるかどうかは全くわからないけど、一般論としてはすごく納得できる。
余計なお世話とは分かっているけど、ソニーには、「立趣旨書」を思い出して頑張ってほしいなと思う。まぁ、無職の私が言うことじゃないんだけど・・・。
働いていたころも、職場に年々「イエスマン」が増えて、さらに、年々「愉快」より「我慢」の方がプライオリティが高くなてきている感じがしていた。
まぁ、そういうのが嫌でちょっと早めに退職しちゃったんですけどね、あたしゃぁ。
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