プチ・シニアの明るいひきこもり生活

「絶対音感」はいらない!

      2016/08/11

SPONSORED LINK

clef-799258_640

 私のようなヘボなミュージシャンであっても、ミュージシャンたるもの、「絶対音感」には少なからず「憧れ」がある。

 まぁ、具体的には、チューナーがいらないじゃん、っていうことくらいしか利点は思いつかないけど、なんとなく「できる感」を演出できることは間違いない。

 ところが、先日放送大学の「音楽・情報・脳」という番組を見ていたら、そういう気持ちはなくなった、というか、どっちかって言えば「なくてよかった」に変った。

SPONSORED LINK

 この講義は、はっきり言って非常に難しくて(言葉遣いも)、私に理解できるところは少ないんだけど、ところどころ興味深いところもあるので無理して見ている。

 例えば、『最大エントロピースペクトルアレイ法』(!)を使って尺八とバイオリンを比べるところとかちょっときつい。面白そうなんだけどなぁ。

 まぁ、それはともかく、「絶対音感」。

 英語では”absolute pitch” というらしい。講師の本田 学先生はこう言っています。「絶対音階」は後天的に習得されるものだから、

「絶対音感を獲得するためには後天的に何らかの訓練によって脳にインストールしなければならない。」

「この能力を獲得させるためには3、4歳頃までに訓練を始めて6歳頃までに完了させることが必要であると言われています。」

「したがって、絶対音階を獲得するたためのトレーニングとは、音の高さと音符の関係を標準周波数に規定された十二平均律に固定することによって、連続性や非定常性を必須の属性とする音楽を離散的で定常的な構造として認識して、それをあたかも言葉のように人間の脳に強制的に刷り込むプロセスだと言うことができるかもしれません。」
 最後の引用は言葉は難しいけど、まぁ、わかります。

 ここまで読んで、自分の子供にもそういう訓練を受けさせようかな、って思った人、この後が問題なんだな。

 某学者が「絶対音感」を持つ人と持たない人の脳を調べたら、音を認識してる時の脳の使い方が違うことがわかったらしい。長くなるので簡単に言うと、「絶対音感」を持つ人は、音を左脳の言語を理解したり、発したりする脳の部分を使って処理している、ということらしい。

 つまり、絶対音感を持つ人は、音楽を聞く時、左脳で言語を使う時と同じように脳を使っている、っていうことらしい。

 この結果どうなるかというと、

すると、音楽の本質的な属性である時間的に連続した非言語性のアナログ情報構造が認識の対象から大きく外れてしまい、音楽固有の感覚・感性反応が誘導されにくくなるという可能があるかもしれません。

ということなのだ。

 私はギタリストなので、チョーキングビブラートとか「アナログ」的な音変化を多用するし、ブルーノートのように微妙な(中途半端な)音も多用するので、そういう時に支障が出るのかもしれない、と思ったりした(もしかしたら違っているかもしれないけど)。

 さらに、怖いのは、「絶対音感」を持つ人の脳は、持たない人よりも右の脳が小さくなってしまうらしい!という点だ。

「絶対音感は左側頭平面の発達をもたらすのではなく、見側頭平面の剪定(刈り取ること)で起こる。」
キーナン

 やだ、怖い。

 本田 学先生は、最後に警告を発している。

絶対音階獲得の訓練の名のもとにそうした人間の脳の自然性を無視した訓練が本人の意図によって避けることのできない幼少期に矯正されるということについては十分に警戒する必要がある、と言えるのではないでしょうか。

 同感である。同時に私の「絶対音感」への「憧れ」は霧散した。もとから小さい脳がもっとちっちゃくなるのは困るもの。

 (あくまで私が理解したことのメモなので、もし間違っていたらごめんなさい。


SPONSORED LINK

 - プチ・シニアの明るいひきこもり生活日記, ヘボなミュージシャンの学習帳

 

Comment

 コメントはこちらが承認するまで表示されません。
  1. 匿名 より:

    絶対音感の人とそうでない人の脳を機械で比較する実験はおこなわれ絶対音感の弊害について説いたりしている論文はありますが、

    実際の結果として絶対音感と相対音感の人の音楽活動や感性を比較した論文はまともにないんですよね

    脳が萎縮して音のとらえ方まで根本的に違っていてはそういった部分に変化がありそうですが、実際そういう話は聞きません。
    弊害と照明するのであれば例えば音楽家としてよい実績がのこせなかったり、好みの音楽に差が現れなければおかしいですからね
    機械で脳を計測する実験に意味はないと思います。それこそ絶対音感保持者が音あてゲームでドヤ顔してる(実際にそんな人はしりませんが)レベルでしょう

    絶対音感がない音楽も、ある音楽も普通にいますからね
    脳の大きさも、例えばアインシュタインは普通の人より脳が小さかったようですので脳が大きいから発達してる、小さいから発達してない、というのであれば「お前は小顔だから馬鹿だ」という理屈が通りますよね

    • hotbeard より:

      大変、示唆に富むコメントありがとうございます。

      読んでいただいてわかったと思いますが、私は学術的なことはサッパリですので、「絶対音感」という言葉が「バイリンガル」とかと同じように世間で「無責任に」ありがたがられている感じなので、ちょっとひねったこと言ってみたかったというあまり深みのない記事で申し訳なかったのですが・・・。

      個人的には、あったほうがいいかな、って思っていたんですけど、以前ユニットを組んでいた女性は「プチ絶対音階」(?)で、私のギターのチューニングが狂っていると指摘してくれました。また、ある曲を演奏する時に、カウベルを叩きながら歌ってもらったことがあったのですが、どうもその曲だけ音を外すんですよね、で、後でわかったのですが、カウベルの音階がどうも邪魔していたみたいです。私にとっては、ほぼただの打音ですが、彼女にとってははっきりした音階で曲のキーとはずれていたようです。

      あと、全然話は変わりますが、人生とか世の中ってきっちりじゃなくて、ちょっとファジーに見たほうがいいかなって思うので、音楽もそんな風に聞いたり、演奏したりしてました。だからダメだって、言われましたけど。

      とりとめなくてすみません。

  2. 匿名 より:

    無責任に肯定している人間も、無責任に否定している人間も同じレベルのクズだと思いますが

    • hotbeard より:

      コメントありがとうございます。

      私の書いたことがお気に召さなかったみたいで申し訳ありません。

Message

  関連記事