プチ・シニアの明るいひきこもり生活

「愛、アムール」(ミヒャエル・ハネケ監督)という映画

      2016/01/31

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 最初に書いてしまうと、これは素晴らしい映画だった。

 これは「老夫婦の愛」についての映画だ。だけど、若い人にも見て欲しいと思う。いくつになっても、形態は変っても、愛の本質的な部分は変わらないと思うからだ。

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 映画は、ベッドに夫人の死体と散りばめられた花びらのシーンから始まる。この時点では私達には何もわからない。

 次にコンサートの客席のショットが長く続く。主人公の二人は映っているけれど、この辞典では私達にはどの二人がそうなのかはまだわからない。

 そして、コンサートから帰った老夫婦が家の鍵が壊さえていることに気づくシーンになる。ここで初めて私達は彼らが主人公だとわかる。

 ドアを開け、クローゼットに向かう二人が映るけれど、常にドアが映像の隅に映っている。
 実はラストシーンでもこの白いドアは俯瞰の隅に佇んでいる。だから、この映画はドアから始まり、ドアで終わる物語なのだ。

 始まりはショッキングだ。突然夫人が無反応になる。夫はふざけているのかと思って起こるけれど、手が震えて紅茶を妻を見て異常を確信する。

 結局、妻の手術は失敗し、以後妻の希望で夫が妻を介護する生活が始まる。いわゆる「老々介護」がこの映画の物語の中心となる。

 この始まったばかりの介護生活には「愛」が見える。夫の言葉を借りれば「これまでも夫婦で困難を乗り越えてきた」んだから、なんとかなるという楽観も見えなくもない。
 夫人を車いすから、椅子に座らせるのを夫が手伝うシーンがあるだが、夫が妻の身体を引き上げ、支える姿はまるでダンスを踊っているかのように見える。楽しそうにも見えるのだ。

 介護をしながら、ベッドの横で夫は昔の話をする。妻は「素敵な話しね」と言う。

 しかし、病状が悪化するにつれ、介護も夫の手に負えなくなっていく。妻はぼそっという「長生きしても無駄ね。」

 夫が、子供の頃のサマー・キャンプの話をする。これも、とても素敵な話だ。

 「キャンプが楽しければ、花をたくさん書いたハガキを出しなさい、辛かったら星をたくさん書いたハガキをだしなさい。」母親がキヤンプに出かける前にそう彼に告げたのだ。彼は星でいっぱいのハガキを出した。

 「あのハガキはなくなってしまった。」そう、彼はひとりごとのように言った直後、物語は唐突に終わる。始まりがそうであったように、終わりもショッキングだ。

 悲しい映画だった。しかし、愛は溢れていた。実は、これが本当に悲しい話なのかは、まだ私にはわからない。





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