プチ・シニアの明るいひきこもり生活

刑事コロンボ「ロンドンの傘」- Dagger of the Mind

      2015/08/30

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Durk, when you were maybe in the third or fourth grade, and there was a pretty redheaded girl in the front row, and you couldn’t get her attention, just a little trick I learned.
「ダーク警部、小学校の頃、前に座っている可愛い女の子のね、なんとか気を引こうとしたことってないですか?それでね、ちょっとした技を私は覚えたんですよ。」


 第13作目。初の海外ロケ。場所はロンドン。イギリスという選択は、おそらくシャーロック・ホームズを意識してのことだろうと思う。推理ドラマを作る以上、シャーロック・ホームズを意識するのは当然かもしれない。

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 気取った、お固いロンドンに、見た目もみすぼらしく、不躾なコロンボの対照。そう、このエピソードの最大の面白さは「対照」の面白さだと思う。また、イギリス人とアメリカ人の気質の対照も作品のポイントになっている。

 気合の入っているだけに(お金もかけた?)、とても面白く、印象に残るエピソードだと思う。最後のちょっとイタズラっぽいトリックのインパクトは強いし、ちょっと気取った感じのあるイギリス人にコロンボが一泡吹かすというのが痛快なせいかもしれない。

 シェークスピアの「マクベス」がストーリーに大きく取りれられているので、ちょっと取っ付きづらいところがあるもしれない。

イギリス(ロンドン)


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 スコットランド・ヤード、シェークスピア、アフタヌーンティー、執事、パブと雨、もちろん傘、とサービス満点に「イギリス」あるいは、ロンドン」がストーリーに組み込まれている。
 観光シーンもバッチリ。いかにもお上りさん的なコロンボが微笑ましい。日本の海外ロケドラマも観光シーン満載だけど、当時から協賛みたいな企画だったんだろうか。ちなみにコロンボが乗っていた飛行機は今はなきパンナム。

登場人物


 犯人となるニコラス(ニック)、リリアン(リリー)は、二人共キャラが凄く濃い。劇俳優役だからそうなのか、役柄上そうなのかはよく分からない。ストーリー的にはあっているのかなと思う。

 個人的に一番印象的なのは、執事のタナーではないだろうか。コロンボのセリフにもあったように「本物の執事」にあったことがないので、本当のところはわからないけど、いかにも本物っぽい。その彼の「抜け目のなさ」もなかなか面白い。どこかで見た役者だなぁ、と思ったら、最近見なおした「第三の男」だった。

 そして、殺されるサー・ロジャース役。名前はともかく、ヒッチコック「ダイヤルMを廻せ!」の刑事役だった人物だ。なかなか憎い配役。以前、やはり「ダイヤルMを廻せ!」の犯人役レイ・ミランド「指輪の爪あと」に登場させていた。

シェークスピア


「マクベス」はこの作品のコアになっている。劇中劇として扱われているだけでなく、明らかにこの犯人の夫婦はマクベス夫妻を模している。実際の劇のシーンは少ないけれど、「マクベス」の有名なセリフは散りばめられている。

 まず、原題の”Dagger of the Mind” もマクベスからの引用。直訳すれば「心の短剣」。もうちょっと言うと、心が生み出した想像上の短剣。英語のタイトルはすばらしいし、コロンボ・シリーズの邦題タイトル的にも合うと思うけど、邦題は「ロンドンの傘」。私は、この邦題は大好きです。シンプルで深みもある。

 そして、執事のタナーを殺害する場面。躊躇するニック(マクベス)をけしかけるリリアン(マクベス夫人)という構図は「マクベス」そのまま。

 ちなみに、私もこのエピソードを初めてみた時は「マクベス」を見たこともなくても面白かった記憶があるので、知らなくても楽しめるエピソードではあると思うけれど、知っていたほうがより楽しめるのは間違いない。短い作品なので読んでみてもいいし、ポランスキー監督の映画を探して見ても良いかもしれない。私は黒澤監督の「蜘蛛巣城」が一番好きだけれど・・・。

 あの一番有名な、「明日、明日、・・」から「人生は歩く影・・」へと続くセリフもしっかりと挿入されている。長くなるのでここでは紹介しない。興味のある人は「コロンボで英語の勉強」の方に改めて引用するのでそちらを見て欲しい。

 リハーサル中の「マクベス」でも、このエピソードと重なるようなセリフが絶妙に選ばれている。例えば、

A little water clears us of this deed. How easy is it, then! 
わたしたちのやったことをきれいに拭うのには少しの水で充分よ、 簡単なことよ。


 車の中でうまくやりおおせたと高笑いをする犯人の二人の気持ちを表現しているんじゃないだろうか。

Come in time, wear napkins enough about you. Here you’ll sweat for it.
「手ぬぐいをたくさん持ってるか、地獄の熱でたんと汗をかくからな。」


 ここは別の役者のセリフ。あえて、この短い部分を挿入したのは、やはり犯人の二人に対しての言葉のように感じられる。

注:さすがにシェークスピアは私の手に負えないところがあるので、この方のサイトを参考にさせていただきました。感謝します。

「シェイクスピアを読む」

トリック


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 トリックも、スカッとするもの、「なるほど」と納得するもの、などいろいろパターンはあるけれど、今回のものはつい笑ってしまう。
ちなみに、いつ「仕掛けた」のか気になる人もいるだろう。ずばり、DVDでは”1:31:55” 、咳をして振り返った時だと思う。

 冒頭で引用したセリフがとても聞いている。行動とこのセリフがセットでトリックと考えたほうがいいと私は思う。
 なんとなくあのコロンボの、可愛らしい小学校時代を想像してしまう。「パイルD-3の壁」では、とてつもないお金がかかったトリックだったけれど、これは安い!。でもインパクトは負けていない。

その他


アガサ・クリスティを馬鹿にする!?


 劇中にこんなセリフがある。

Well, why don’t you know? If you’d taken that part in the Agatha Christie play, like I told you to, you would know these things.
You know perfectly well why I didn’t take that rubbish.
「なぜ、知らないのよ?私の言うとおり、あのアガサ・クリスティーの劇を引き受けていれば、こういうことも知ることができたのに。」
「あんなくだらない役を引き受けない理由なんか、お前だって重々承知だろう?」


 なんとアガサ・クリスティーをけなしている。探偵物なんてできるか!って感じ。まぁ、最終的に探偵の方が一枚上手という筋書きだから、スノッブさを皮肉っているだけなんだろうけど。

イギリスなのにビートルズが出てこない?


 はっきりとした形の引用はない。私の気づいた範囲では、匂わせたのは2点。こじつけすぎだろうか。どうだろう?

So your bird has flown. Your little theory, Columbo.
「ここまでということかな、君のその推理とやらも、コロンボ君」


 コロンボが傘の件で推理が外れたと落胆した時に、ダーク警部が言うセリフ。
 もちろん「ノルウェーの森 Norwegian Wood」からの引用、と言いたいところだけれど、もしかしたら、常套句的に使ったのかもしれない。

 それとエンディングの去ってゆくコロンボを写した映像。バックに映っているのは、ロイヤル・アルバート・ホールじゃないだろうか・・・、って思って、ストリート・ヴューで確認したら、まさにそうでした。

 ロイヤル・アルバート・ホールと言えば、“A Day in The Life“の歌詞にも出てくるし、あの「宝石をジャラジャラ鳴らしてください」で有名な御前コンサートが行われた場所だ。まぁ、ビートルズ以外にもゆかりのある場所なんで、ビートルズを意識していたかどうかは不明だけど。

 ちなみに、蝋人形館(London Wax Museum) っててっきり「マダム・タッソー」のところかなと思っていたけど、ロイヤル・アルバート・ホールの向かいにある「ロイヤル・ミュージック・カレッジ」でのセットだった。

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