プチ・シニアの明るいひきこもり生活

刑事コロンボ「死者の身代金」

      2015/08/25

SPONSORED LINK

 コロンボ第2作。

 2作目にしてほぼコロンボのキャラは確立している。今回の犯人も敏腕女弁護士でというハイ・ソサエティな人物。

 ペンは借りるし、家族の話(”homey anecdotes”)で犯人をイライラさせたり、不意打ちをかけたり、ほぼコロンボのキャラは確立している。

 犯人に飛行機を無理やり操縦させられるというシーンも、犯人がコロンボをいじめる(?)というシーケンスとして何度も出てくる(ボートとか、料理番組とか)。

 コロンボが見事なビリヤードの腕を見せるのも、大好物のチリをたべるのも、「刑事コロンボ」シリーズの定番になる。

SPONSORED LINK

心理的なトリック

 最後のトリックが秀逸で、個人的には大好きな作品。心理を突いたトリックで、すごく教訓的だと思う。
コロンボは、継娘と仕組んで、隠している身代金を使わざるを得ない状況に犯人のレスリーを追い込む。その使わざるを得ない状況というのが、「口止め料」なわけだ。コロンボも言っているが、普通の人なら引っかからない。だけど、レスリーならひっかかるはずだと確信する。

Did it ever occur to you that few people that would take money to forget about a murder ? It didn’t, did it? I knew it wouldn’t.
「お金のためなら身内の殺人さえも忘れてしまうなんて人はほとんどいないんだが、あんた、そんなことも気づかなかった。あたしは、あんたならきっと気づかないと踏んだんだ。」

そして、

You cant’t conceive of anybody being any different than what you are?
「あんたは、人はあんたとは違うんだってことにわかっていないんだ」

 教訓的って書いたのは、私自身、実生活でそんな風に勘違いしてしまうことがあるからだ。まぁ、これは殺人まで犯しちゃうような極端な例なので(コロンボもレスリーのことを” No conscience. (良心がない」って言ってるくらいだし)、もっと日常的なレベルに落とすけれど、例えば、コンビニに行って店員さんの態度があまりよろしくない時にイラッとしないだろうか? 私はすることがある。

 だけど、これは私の中に「もし自分が客商売をしている身なら、こういう態度はとらないだろう」っていう認識があって、そして、なんの疑いもなく他の人達も同じ認識を持っているだろう、って思い込んでしまうことによる誤解なのかもしれない。同じ風に思う人ばかりじゃないかもしれない。安い時給で、しかも、ストレスフルな環境で働いてたりする場合もあるだろうし。私的には、「俺とは考え方が違うかもしれないから、しょうがないか」って怒りをおさめたりする。

 最近クレーマーって話題になるけれど、自分の価値観のゴリ押しが多いような気もする。クレーマーの場合は、悪い意味で世間一般とは異なる価値観だろうけど。

 さらに、海外、特にアメリカに行ったりした時に、私の如き庶民が行くスーパーやレストランではたいてい不快な対応をされる。マクドナルドも、日本と違ってほぼ100%店員の態度は悪い。

 でも、すぐ、しょうがないか、って思う。

 以前、日本以外では、安い給料で働く人達は手を抜くのが義務だっていうのを読んだことがある。不満を表さないと、その安い給料に満足してるって思われちゃうからだ。そういうこともあるので、海外ではそんなイライラしない(やっぱ、少しはするけど)。

 つまり、海外だと自分とは違う民族だから、最初から「考え方が違うだろ」ってすぐに納得できるのだけど、日本だと同じような考え方を持っているんじゃないかという「錯覚」を逆に持ちやすいじゃないかなと思う。

小ネタ

◯ 最後に空港のラウンジでコロンボとレスリーが会話するシーンで。
コロンボの注文は、” root beer “ だけど、吹き替えは「グレープ・フルーツ」と言っている。確かに、root beer って何?って言う人も多いから(特に昔は)、違う飲み物に置き換えるのは懸命な翻訳だと思うんだけど、でも、なぜ「グレープ・ジュース」なんだろう?突飛な感じがするのは私だけ?見た目もグレープ・ジュースよりは薄い気がするんだけど。コーラじゃダメだったのかな?内容的にここはノン・アルコールでないとダメだろうけど。

◯ 同じシーン、飲み物を掲げ、レスリーが、

“To you” (吹き替えでは「名刑事さんに」字幕では「乾杯」)

それに対してコロンボは、

“Here’s looking at you, Mrs. Williams”

と答える。

 これって、映画「カサブランカ Casablanca」の超有名セリフ、「君の瞳に乾杯」ってやつ(最後は、kid だけど)。意外とコロンボってお洒落。ちなみに、吹き替えでは「敏腕なる女流弁護士さんに」、字幕では「あなたの瞳に乾杯」って訳している。
 
 カサブランカのセリフが消えちゃうのは残念だけど、ここは吹き替えのセリフが一番しっくりくる気がする。
 全部確認しているわけではないけど、「吹き替え」はかなり意訳して英語と離れてることも多いんだけど、全体的にコロンボのキャラを活かしたすごくいい訳だなって思う。


SPONSORED LINK

 - いまさら刑事コロンボ, だらだらTVドラマ鑑賞

Message

  関連記事