プチ・シニアの明るいひきこもり生活

男もつらいけど、女もつらい ー 成瀬巳喜男監督「娘・妻・母」

      2016/01/31

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naruse
 矢野顕子の名曲「ラーメン食べたい」の歌詞を思い出した。

「男もつらいけど、女もつらいのよ」


 成瀬巳喜男の「娘・妻・母」である。

 以前、「おかあさん」について書いた。こんな弱小ブログで、渋いネタ(と私は思った)なので読みに来る人はほとんどいないだろうな、と思っていたけれど、意外と訪れる人はいるものだな、と思った。(「おかあさん」鑑賞記事)。

 また機会があれば見ようと思っていたけれど、この「娘・妻・母」は正直腰が重かった。番組説明の中に「再婚、老後、姑との同居、遺産分配・・・。」という文字が見えたからだ。ホーム・ドラマで「姑」「遺産」の文字が見えたら私はまず見ない。

 単純に「姑」とか「遺産」とかいう「問題」が私は嫌いなのだ。そんなつまらないことで醜い態度をとるっていう人たちにリアリティーを全然かんじないからだ(遺産に関しては、貧乏にゆえの特権かもしれないけど)。

 なので、見るのにそれなりの覚悟が要ったわけだけれど、見始めたら不快感は感じずに見通すことができた。

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 横で見ていたカミさんも「アナタがこういう映画を最後まで見ているので驚いた。」と宣った。私も驚いた。もちろん、これは成瀬巳喜男監督の手腕だと私は褒めたくて書いている。ここに出てくる人たちは誰一人として「醜くなかった。

 さて、この映画は徹底的に「女性は辛いのよ」ということ、つまり、娘であることも辛いし、妻であることも辛いし、母であることも辛い、とにかく女性は一生辛いのよ、ということが描いている映画だ。

 ただ、彼女たち(今更書くのもすごいけど、母、娘3人、長男・次男の嫁、と6人の女性が出てくる)は、「しょうがないなぁ」と思いながらもその「辛さ」を受け入れている。このあたりが、冒頭に引用した矢野顕子の歌詞のと同じものを感じる。「辛いけど、しょうがないわね」と状況をわりと淡々と受け入れる女性の強さ、というか美しさを感じる。

 そして、その辛さの原因の多くは「情けない男」たちのせいなのだ。この映画に出てくる男性のみな「情けない」存在である、あるいは、少なくとも情けない面を持っている。ただ、彼女たちは、「まったく男ってはしょうがないわね。」って思いながら、冷静に状況に対処してゆく。私はそういう彼女たちの態度に「愛」を感じた。自分も情けないからそう思うかもしれないけど。

 そんな訳で、これもいい映画じゃないか、ってちょっと偉そうだけど思った次第だ。昭和をノスタルジックに描いた映画が流行っているけど個人的にはより古い世代のこの映画の方にノスタルジックな感慨を感じた。精神的な面が大きいかもしれない。

 例によって(と言ってもまだ2作しかみてないんだけど)、映画は、唐突に、彼らの問題は投げ出されたままに終わってしまう。答えは私達が探すことになる。

 劇中に8ミリでとった映像をみんなで鑑賞するシーンがあるんだけど、なかなかお洒落で素敵なものだった。あの映像をみながら談笑する彼らの姿がこの映画の一番の幸福なシーンであり、彼らが今後どうなっていくかのヒントになっているんだと私は思った。





(「ラーメン食べたい」が入ってます。」)


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