プチ・シニアの明るいひきこもり生活

「ライムライト」60になってもこんな風に若い娘に愛されたい

      2016/01/31

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“When you’re my age,you’ll want to hang on to it. Why?Well, at this stage of the game, life gets to be a habit.A hopeless one. Then live without hope. Live for the moment. There are still, there are still…
There are still wonderful moments.”
「私くらいの年になると、人生にしがみつきたくなるんだ。なぜかって?人生というゲームも、この段階まで来るとただの習慣になってしまうのさ。希望のない習慣にね。そして、希望をなくして生きる、ただその時その時を生きていく。それでも、それでも・・・、それでも素晴らしい瞬間というのは必ずあるものさ。」

 遅れてきた(しかも相当!)チャップリン・ファンなので、やっと「ライムライト」を見た。実を言うと少し前に見て、もう一度見なおしてから書いている。最初に見た後に「殺人狂時代」を見てしまったので、個人的には「殺人狂時代」が今のところのフェイバリットだけれど、「ライムライト」はそれに続く。

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 TV番組の説明では、「当時60歳を超えていたチャップリン自身の心境が投影されている。」となっていた。そのせいか、人生について言及したセリフが、しかも含蓄のあるセリフが次々にでてくる。

 ストーリーも素晴らしい。まだ数多く見ていない段階で言うのもなんだけど、チャップリンの映画は基本的に「愛」の映画だと思う。「純愛」って言ってもいいかもしれない。一時期、「純愛」ブームがあった気がするけれど、「あんなのより」よっぽどチャップリンの作品の方がいいのに、って思った。まぁ、「あんなの」を見てないんだけど。

 なので、ここには「愛について」を中心にに書いてみたい。

 もちろん、彼の本領と言われているコメディアンとしての資質も、ノミの芸や音楽ドタバタで十二分に発揮されている。私は全くの素人だけど、バレエのシーンも結構面白かった。音楽もすごく良い。

 さて、

「ライムライト」で描かれる愛は、栄光のあと挫折し、今では落ちぶれているコメディアン、カヴァレロ(チャップリン)と、若くして自殺しようするほどの挫折から立ち直り栄光をつかんでいく若いバレェ・ダンサー、テリーとの愛である。

 言い換えると、人生の甘いも酸いも知り尽くした(と思っている)男と、まだ人生の荒波に漕ぎだしたばかりの女の愛である。

 二人が出会ったばかりの頃、カヴァレロは、こう言っている。

I’ve had five wives already. One more or less makes no difference.
Moreover, I’ve arrived at the age where platonic friendship can be sustained on the highest moral plane.
「これまでに5人の妻を持ったし、1人多くても少なくても大したことじゃない。その上、この歳になると、これ以上はないというくらいの道徳観を持ってプラトニックな関係を続けられるものなのさ。」

 つまり、彼は愛についてはベテランだし、もう愛などで自分でコントロール出来なくなるような年ではない、と宣言している。

 逆に、テリーはカヴァレロにこれまでの恋愛経験について聞かれて、作曲家ネヴィルとの出来事を話しながらこう答える。

No, not really. I think it was more a feeling of pity.
「違うと思うわ。あれは、どちらかというと同情のようなものだわ」

 しかし、カルヴェロは、即座に、

”Off course, you’re in love with him.” 「間違いなく、君は彼に恋してるってことさ」

 と断定する。

 人生と同じく、愛についても、カルヴェロは経験豊富な存在であり、テリーはまだ自分が恋をしているかもはっきりわからないような初心者なのだ。

 だから、カルヴェロは、自分が予言したとおり、テリーがそのネヴィルとの再会を果たした時、自分は身を引く決断をする。

 テリーがどれほどカルヴェロのことを愛していると言っても、カルヴェロはテリーが勘違いしているとしか思えないし、自分といるよりネヴィルといる方がテリーにとっては幸せだと、これまで培った経験から判断したからだ。

 私は、カヴァレロの予言通り、テリーがネヴィルと結婚するんだろうと思いながら見ていた。しかし、違った。テリーは頑なに、最後までカヴァレロのことを愛していると言い続ける。

 ラストシーン、死の直前、意識が朦朧とする中、カルヴェロはテリーにこう言う。

We’re going to tour the world.I’ve got ideas.You doing ballet, and me comedy.
「巡業に出よう、いいアイディアがある、君がバレェをやり、私がコメディをやるんだ。」


 そういった瞬間、ネヴィルもそばにいる事に気づいて、

And in the elegant melancholy of twilight, he will tell you he loves you.
「そして、エレガントで憂鬱な黄昏時に、彼が君を愛していると告げる」

 と、以前テリーとネヴィルの恋を予言した時のセリフをもう一度言う。

そして、

The heart and the mind…what an enigma. 「心と頭、なんと不可解な・・」

 Heart (感情)と mind(理性)、つまり、理性はネヴィルと一緒になるのが彼女にとっての幸せだと告げているのに、感情は彼女への思いも消しきれない、そんな揺れ動く自分を enigma と表現したのだろう。

( ちなみに、私が見たイマジカBSの字幕では「心臓と心、なんと謎なことか」と訳されていた。これじゃなんのことか分からない。細かいことは言いたくないけど、これってこの映画の一番大事なセリフだと思うのだが。)

 どうだろう?卒倒しそうなくらい美しいシーンじゃないだろうか。

 映画は、もちろん、愛以外のことも描いている。タイトルの「ライムライト」とは舞台のスポット・ライトのことだ。人生の輝かしい瞬間のことだ。そして、輝かしい瞬間の裏には同じくらい、苦しく惨めな瞬間もあるはずだ。この映画はそんな人生の機微も見事に描いている。

 例えば、テリーのオーディションがうまく行った後ライトの消された舞台に残るカルヴェロの表情。この暗い表情は、もちろんテリーがネヴィルと本当に出会ってしまったこと(予言しておきながら)への落胆と、自分が落ち目でいるのにテリーの方は見事プリマに合格し成功してゆくという事実に対する複雑な感情の現れだと思う。個人的にはこの映画で一番好きなシーンだ。


 また、冒頭で書いたように、カヴァレロの口を通してチャップリンの心境をテリーを立ち直らせようと、カヴァレロは人生について多くを語る。それらは含蓄があり、説得力もある。しかし、そう口にするカヴァレロ自身も、いつも言葉通りに行動できるわけではない。傷つくし、落ち込む。不安に潰されそうになる。テリーを励ましながら、自分をも励ましているようにみえる。この辺りはチャップリンの正直な心境が表現されているんだろうと思う。

 いつの間にか、チャップリンがこの映画を作った年齢に近づきつつある。そのせいか、なんか共感できるところが多々あった気がする。ま、私の場合、ライム・ライトには当たったことは無いんだけど・・・。






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  1. […]    チャップリンのライムライトに出てくる「名セリフ」を私の好みで11個選びました。 鑑賞した別記事にも引用しているので、そちらも見てもらえると嬉しいです。(ライムライト鑑賞記事)  基本的に、チャップリン演じるカルヴェロ(Calvero)とテリー(Terry)の会話です。名前を書いていない場合はカルヴェロのセリフです。  字幕は忘れてしまったので、日本語は拙訳。間違っていたら、すみません。 […]

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