プチ・シニアの明るいひきこもり生活

CG使わなくてもリアル、っていうか、そこらの今の映画よりよっぽど面白い「大列車作戦」

      2016/10/23

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「大列車作戦」を見た、と言うか、たぶん見直した。ところどころ見た記憶のあるシーンが出てきたから以前見たことがあるのは間違いない。

原題は “The Train” ストレート勝負。主演はバート・ランカスター。懐かしい。ほんと久しぶりに見る。

自分は10代前半の頃、このバート・ランカスターとかチャールトン・ヘストンとかの映画を見て心をときめかした。どちらかと言えば、チャールトン・ヘストンの方がは「猿の惑星」とか「ベン・ハー」とか、印象に残っていたりするわけだけれど、彼の場合、その後、マイケル・ムーアの映画(「ボウリング・フォー・コロンバイン」)で晒した情けない姿で、文字通り「落ちた偶像」となってしまった。

一方、このバート・ランカスター、ほんとに久しぶりに見るけれど、ほんとにかっこいい。自分が年取ったせいか、昔よりもかっこよく見える。彼の顔には「反抗」がどこかにあるよね。だから、かっこいい。

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これは、どういうことかというと、私の人生経験(年月の割に浅いとはいえ)が「人を見る目」の能力を上げたということだ。若い時には気づかなかった良さに気づくようになった(はず、もちろん同時に、悪いところにも気づく)。

さて、第2次世界大戦末期、敗色濃厚のドイツ軍はパリから貴重な美術品をドイツに持ち去ろうとする、レジスタンスはなんとかしてその列車を阻止する、というのがこの映画のストーリーだ。

I mean the art train. If the Germans want it so much, maybe we should do something.
「美術品列車か。ドイツ人がそんなに欲しがるんなら、なんとかしなきゃな。」

このストーリーのポイントは、輸送するのが宝石とか金とかじゃなくて美術品という点だ。もちろん貴重品だけど、それはあくまでも売った場合の話で、純粋に美術品としての価値を認めている登場人物はナチの大佐だけだ(冒頭に登場するキュレーターの女性は別ね)。そして、その価値がかわらないドイツ兵が必死に運び出そうとし、同じく価値の分からないレジスタンスの連中が命をかけてこの輸送を阻止しようとする。

そこが面白い。

意外なことに、もうあまりにリアルなCGに慣れ親しんでしまった私だけれど(たぶん、みんなそうだけど)、この1947年制作の映画のシーンはとても迫力がある。嘘だと思ったら見て欲しい。列車の衝突シーンも2016年制作これでもかっていうくらいCGバリバリ映画よりも迫力がある(と私は思う)。ある意味、この時代の映画には「CGはないし」っていう認識がそうさせるのかもしれないけれど、「リアル」で迫力がある。

そして、当然だけど、「レジスタンス」な、つまり、文字通り「抵抗」のストーリーは常に面白い。ある意味、美しい。

ブール機関士の妨害工作がバレて処刑されそうになるシーンで、主人公のラビーシュがかばおうとするシーン。

Labiche: He’s just an old man. He didn’t know what he was doing. Don’t worry – I’ll get your train through for you.
Papa Boule: His train? His? It’s my train! I know what I’m doing. Do you?
ラビーシュ(ドイツ兵に)「彼はただの年寄りじゃないか。自分で何をやってるのかもわかっちゃいないんだ。心配するな、あんたの列車は俺がちゃんと届けてやるよ。」
プール機関士(ラビーシュに)「奴の列車?冗談じゃない。あれは俺の列車さ。俺はちゃんと自分が何をやってるかわかってるさ。主あえはそうじゃないのか?」

と言って、結局射殺されてしまう。こう言って何だけど、かっこいい。もうすぐ、パリが開放されるとわかっているのに、彼は突っ張る。同じ死ぬならこういう風に死にたいと思う。

さて、エンディングシーン。ナチの兵士たちは、「人間の盾」にしてきたフランス人を皆殺害し、美術品を放り出してドイツへと逃げてゆく。

Beauty belongs to the man who can appreciate it.
美は、それを理解できる人間のものなのだ。

こう豪語するナチの大佐は、ラビーシュに撃たれ、倒れる。ラビーシュは足を引きずりながら去ってゆく。美術品は脱線した列車の横に無造作に置き去られたままだ。機関車だけが蒸気の音をさせている。


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