プチ・シニアの明るいひきこもり生活

私も枯れてきたのかしらん・・・ 成瀬巳喜男監督「おかあさん」を見る

      2016/01/31

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Okaasan
「おかあさん」を見た。成瀬巳喜男である。渋すぎる。

 成瀬巳喜男監督の映画は初めてである。こういう映画を撮る人なのか・・・。

 出だしの娘のモノローグがすごく良い。

「あたしのお母さんは、よそのお母さんに比べると少しちっちゃくて小ぶりなので長い箒が大嫌いで、短い箒は慣れているから苦しくないといいます。お母さんは目の開き方が優しくて、私はとても大好きです」


「目の開き方が優しくて」というところがすごくいい。某朝ドラを見ている時に、あまりに安易に使い古されたセリフが多用されいるのに辟易して見るのをやめてしまったんだけど、こいいうさりげない素敵なセリフをもっと使って欲しいなぁと思う。

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 映画を見終わると、この箒のこともなにやら比喩的に思えてくる。

 で、いきなり、エンディングの娘のモノローグに飛んでしまう(!)のだけれど、

「今日もまた静かな夜は更けていきます。そして、明日も雀の声で幸せな朝がやってくるのです。お母さん、あたしの大好きなお母さん、幸せですか?あたしはそれが心配です。お母さん、あたしの大好きなお母さん、いつまでも、いつまでも生きて下さい。お母さん・・・」


 この「幸せですか?」という問いかけがこの映画のテーマだと思う。乱暴に言ってしまうと、この映画は観客にクイズを出しているのだ、「このお母さんははたして幸せでしょうか?」と。まぁ、正解はないクイズだけど。

 ストーリーはあえて書かないけれど、このエンディングのモノローグの後の田中絹代演じる「おかあさん」は実に微妙な表情をする。クイズをまるで難しくしているかのように。

 私は黒澤映画以外の日本映画に疎いので、田中絹代という女優も名前しか知らなかった。確かに、有名なのがわかる気がした。この「おかあさん」は辛いことにも(結構起こるんですよ)、抑えたセリフしか言わないけれど、中にある感情は所作や表情に文字通り「にじみ出てきて」いる。

 それと、終戦直後の貧しい時代。今見るとノスタルジックな気分になる。私なんかはその貧しい時代の最後のほうしか知らないけれど、それでも画面に映るいろいろなシーンに懐かしさを覚えた。

 そういえば、「3丁目の夕日」がヒットするのもノスタルジーのせいだろうけど、ノスタルジックな気分になりたいなら、狙って作ってないだけ、むしろ、この手の古い映画のほうがいいんじゃないかなぁ、と思った。(そういえば、「3丁目の夕日」の漫画版は映画よりずっと素朴だった気がするけど)。

 最後に、若い頃小津安二郎の映画が余りにも評判がいいのでなんどかチャレンジしたけれど、なかなか最後まで見ていられなかった。もっと枯れた頃になったら見ようと思って、未だに見ていない。もしかしたら、今は見られるようになっているかもしれない、なんてこの映画を見て思った。

注:さすがにYouTubeにも映像はありませんでした。



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