プチ・シニアの明るいひきこもり生活

独裁の匂いのする今こそ見よう 「チャップリンの独裁者」

      2016/01/31

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 もしかしてチャップリンの映画の中で一番有名なのはこの「独裁者」かもしれない。この間まで見ていなかった私も含めて、通して見ていなくても最後の演説のシーンだけは引用されることが多いから、知っていたりする。

 それに、ある意味すごく分かりやすい。「ライムライト」や「殺人狂時代」が、コメディアンや殺人者を描きながら、人生の哲学に言及しているのに比べると、すごくストレートだ。民主主義の失われた世界の悲惨さをとにかく訴えている。テーマが明快だ。

 よく語られているように、この映画が1940年公開、第二次世界大戦中、ヒットラーの時代に作られているというのが確かにこの映画の凄さだと思う。
 そして、70年以上たった今でも、この映画の中で語られる言葉の多くが今もリアルに警鐘として響く。

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さて、いくつかに分けて感想を。

コメディ・シーンが多い


「殺人狂時代」とことなり、彼のコメディアンとしての資質は存分に発揮されている。私がこれまで見てきた作品は、どちらかと言うと、人生や愛についての深みのある考察が中心となっていて、コメディ・シーンは少なめだった。
しかし、この作品はギャグ満載である。
これは、テーマが独裁者あるいはヒットラーという明確な「敵」を想定しいたことが大きいと思う。風刺するには、これ以上の存在はないのだから。

もちろん、今の基準で考えると実際に笑えるかどうかはまた別の話かもしれない。私はなんどもニヤリとしながら見ていたけれど、今の若い人は、「風刺 ( satire )」にあまり慣れていないような気がするから、「こんなのじゃ笑えないよ」って言うかもしれない。それは残念なことだ。

最近、某ミュージシャンが政権を風刺する行動で非難を受けた。あの程度で非難を受けてしまうのか、というのが正直な感想だった。

心理学を利用したイメージ戦略


 バクテリア国の独裁者ナポロニが訪問するシーンで、いかに心理的に有利に立つかを争うシーンがある。
ナチスのイメージ戦略が優れていたことはよく語られる。だからこそ、この風刺も効いている。

 などど、客観的に言ってみたけれど、笑ってばかりはいられない。今だって、政府や政府の息のかかったメディアのイメージ戦略に軽々と私達は載せられてしまうのだから。

私が一番好きな、演説の直前の一言


チャップリンの独
 実は、私が一番好きなのは、演説の直前シュルツと交わす会話だ。(上のYouTube映像の直前)

You must speak.
I can’t.
You must. It’s our only hope.
Hope…
「なんとか演説するんだ」
「無理ですよ」
「するんだよ、それ以外希望はない」
「希望・・・」


 このシーンはこの場をなんとかうまくやり過ごすには「演説」するしかない、という意味にとるのが普通だろうけど、チャップリンはもっと広い意味をかけているんだと私は思う。
 
 ここでは「演説」と訳したけれど、英語は”speak” 、つまり「話す」。

 これは「黙って施政者の言いなりにならずに声をあげること」、これこそが、民主主義を守ることの「希望」と言っているんじゃないかと思う。

 この後の有名なセリフの影に隠れてしまいそうだが、実はこれが一番チャップリンは言いたかったんじゃないかって思ったりする、表現者としては。

その他の印象的なセリフ


To arouse the people’s anger.
Violence against the Jews might make
the people forget their stomach
 人々の怒りを煽るためです。
 ユダヤ人に対する暴力が、自分たちの不満を忘れさせるのです。.


Any brave man would resist.
勇敢な人間は反抗するものだ。(シュルツの言葉)


They need diversion.
The people, bah!
We might go further with the Jews.
Burn some of their houses.
An assault on the ghetto.
Something more dramatic.

「彼らには気晴らしが必要なんです。」
「ふん、庶民か・・」
「ユダヤ人をさらに締め付けましょう、
 家を燃やし、ゲットーを襲うのです。
 派手なことをするんです。」


Do you believe in God?
I do. But if there wasn’t one,
would you live any different?
I wouldn’t.
Life could be wonderful
if people’d leave you alone.

あなたは神を信じる?
私は信じるわ。でも、神がいなくても、生き方はかわらないわ。
誰からも煩わされることがなければ、人生って素晴らしいのに。


All great men are absent-minded.
It’s a sign you’re smart.

偉大な人間は、いつもボンヤリしているのよ。
それが、聡明さの証なの。


You make me afraid of myself.
Dictator of the World!

そんなこと言われたら、自分が怖くなるじゃないか。
世界の支配者・・・。



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