プチ・シニアの明るいひきこもり生活

オヤジひとり、ベトナム旅日記(10)

      2015/08/31

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(注:この文章は初めてベトナムに行った2006年の旅の記録です。ベトナムは急速に発展しているので、当時とはかなり大きく違っています。特に、物価等は大幅に変わっていますので、そのあたり考慮の上お読み下さい。)

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 ホテルに戻り、軽く昼寝をした後、メインの通りとは反対の方向に歩いて行く事にした。細い路地に入ってゆく、市井の人の生活があった。特に子供を抱いたお母さんは、カメラを向けるとうれしそうな顔をした。また来る機会があれば、プリントして持って行ってあげよう。ベトナム将棋をしている男たちもいる。総じて女の人の方が働いている気がする。

 ある場所で、女の子がこっちに来いという仕草をした。普通の家で、まったく店には見えないが、どうもフォーの店らしい。お父さんとお母さんも満面の笑みを浮かべて店に誘う。そういえば、あまりフォーを食べていない。入ってみることにした。

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 入ってはみたが、3人ともまったく英語がわからない。とりあえずフォーを指差して頼んでみた。妙に具の多いフォーだが、なにか日本のうどんのようだ。結構いける。食べている間に、子供を抱いたお母さんや、日本人としか思えないようなかわいい女の子など、来客を交えてこっちを見ながら楽しそうに話している。なんだかわからないけれど、こちらも黙って愛想だけを振り舞う。食べ終わって、しばらくは我慢していたが、言葉がわからず愛想を振りまいている状況にも耐えがたくなったので、財布を取り出し、身振りで値段を聞くと、20,000ドンだという。驚いた。普通のフォーは5000ドンだ。具がいっぱいだったことを考慮しても10,000ドンくらいだと思っていた。しかし、値段を聞かずに食べ始めてしまったのだから、自分のミスだ。なんとなく愛想のよかった家族の顔がすこし醜く見えてくる。たかが80円だ。ぼられてもいい、でも、こういう店でぼられたくはなかったな。せっかくいい気分だったんだけどな・・・。

 帰るとき、女の子が、また来るか?と聞いた。もうくるつもりはなかったが、私は笑顔でまた来る、と伝えた。仕返しのつもりだったかもしれない。 たかが80円。なのに、自己嫌悪がついてくる、ぼられた事ではなく、ぼられた事を受け流せなかったことに。

 夜、9時頃レイのいる店に顔を出し、ビールとつまみになるような牛の串焼きを頼む。結構いける。そういえば昼間の日本人老夫婦が言っていたが、この店はガイドブックにも載っているらしい。10時前にレイが私服になってやってきた。言っていたコーヒーのおいしい店は、さっきまでいた店の30メートルほど先だった。珍しく、オープンではなく店の中のテーブルに座る。ちょっとしゃれたバーだった。彼女はカフェ・ラテを頼み、私は迷った末結局ビールになった。

 日本語でいろいろ話をした。オーストラリア人が多いこと。日本人はチップを置かないこと(ガイドブックにいらないって書いてあると日本人は払わないよ、と教える)、ベトナムの年寄りは欧米人が嫌いだけど、子供たちが結婚してしまうから仕方なく受け入れている、結婚すると親はまったく関係ない(まるで、日本の姑とかについて知っているような感じだった)。正直言ってこちらの聞きたいことはあまり聞けなかった。彼女の日本語だとあまりややこしいことは無理そうだった。
 店を出るとき、彼女は本当に払おうとしたが、日本ではこういうときは男の人が払うんだよ、特に私みたいに昔の世代の男は、と言って私が払った。

 店を出ると、「知ってる人がいっぱいいるから、バイクに乗せられない」と彼女が言った。歩いてもホテルまでたいした距離ではない、最初から歩くつもりだった。じゃあ、と言って、別れた。

 ふと、夜の「日本橋」は、もしかしたら、昼間とは違うかもしれないと、ホテルに帰る前に寄ってみようと思った。「日本橋」に向かって歩いてゆくと、「◯◯さーん」と言う声が聞こえてきた、振り向くとレイだった。

「どこいくのー?」彼女が叫ぶ。
「夜の日本橋を見ようと思って・・」私が叫ぶ。
「その辺は夜は危ないからダメだよー」
 日本橋のほうを見てみたが、別に危なそうには見えない。ただ、無理していくほどの気持ちもない。彼女の方に歩いて行った。
「バイクの乗って。ホテルまで送るから。」

 さっき・・・、と言いかけて、他の人に見られたくなかったんだな、ということに気づいた。私は、バイクの後ろにまたがり、夜のホイアンの暗い町並みがゆっくりと流れるのを彼女の肩越しに見ていた。

 数分でホテルに着いた。
「ありがとう、楽しかったよ。」
日本語でそういったが、彼女は曖昧に頷いて行ってしまった。

 彼女の姿が見えなくなって、ホテルを見ると入口の戸が真っ暗で閉まっていた。まさか、門限があるのかと思って近づくと、中から明かりがつき、ドアを開けてくれた。まだ12時だ。ホイアンの夜は早い。 (続く)

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