プチ・シニアの明るいひきこもり生活

愛は時に重いと知る  ジョン・カサヴェテス監督「こわれゆく女」

      2016/01/31

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All of a sudden, I miss everyone…
「本当に突然、人が恋しくなるの。」



 重い映画だ。濃縮した時間が2時間半続く。
「愛」がテーマだと映画は重くなる。真剣に関わろうとすればするほど重くなる。「愛」からは常に逃げ腰だった私は、そう思う。

 先日見た「愛、アムール」(鑑賞記事)が静かな狂気と立ち向かう愛の物語だとすれば、この「こわれゆく女」は激しい狂気に激しく立ち向かう愛の物語といえるかもしれない。

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I always understood you, and you always understood me and that was always just how it was, and that’s it.
「私はいつもあなたのことを理解していたし、あなたもいつも私のことを理解してくれたわ。いつも私達はそうやってきたわ。でも、それだけだったのよ。」


 妻がおかしくなる。その妻メイベルを監督カサベテス(John Cassavetes)の妻ジーナ・ローランズ(Gena Rowlands)が演じている。素晴らしい。2時間半の映画のほとんどを彼女の演技が占めていると言っていい。しかし、画面に映る彼女の奇行には不思議に憎めない可愛らしさがある。私達は、ある意味彼女に惹かれていく。それは、ピーター・フォーク(Peter Falk)演ずる夫ニックの彼女へのひたむきな愛と共鳴しあって、私達を映画に引き込んでゆく。

Mabel is not crazy, she’s unusual. She’s not crazy, so don’t say she’s crazy.
「メイベルは、気がおかしいわけじゃない。ただ、普通とちがうんだだけなんだ。おかしくなんかない。だから、彼女がおかしいなんて言わないでくれ。」

 メイベルの狂気が前面に描かれているけれど、実は夫ニック行動も狂気に満ちたものだ。彼は執拗に「幸せな家庭」のイメージを求め、妻の狂気を認めようとせず抗う。つまり、現実を受け入れようとせず、理想の家庭像に無理やり妻を当てはめようとする。

 クローズアップを多用した映像もいいし、変に説明的でないのもいいと思う。

 この映画を見たきっかけは、「刑事コロンボ」を見ていて、「黒のエチュード」(別記事)の犯人役カサヴェテスがあまりにもカッコ良かったというシンプルでミーハーな理由なんだけど、監督としても凄いということが分かった。
 ピーター・フォークも、コロンボ役じゃなくても素晴らしい役者だってわかる。

 エンディングは、二人の笑顔が映るのだが、これが彼らの明るい未来を表しているのか、それとも、現実から目をそらし問題を先送りにするだけの刹那的な笑顔を意味しているのか、私には判断できなかった。





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