仕事が嫌になったら人必見!?「我が家の楽園」
2016/10/23
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フランク・キャプラ監督作である。あの名作「スミス都へ行く」とか「素晴らしき哉、人生!」とかのフランク・キャプラである(と知ったかぶって書いてもこの2作品しか観てないないんだけど・・)。
ということは、ある程度「牧歌的」であることは予想できていたわけだけど、これはすごい。「牧歌的」すぎてなんだかよくわからない感じである。
いや、メインのストーリーは非常にわかりやすいんだけど、その周辺がなんだか変なのだ。「カルト」的って言ってもいいくらい。
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まぁ、それは後回しにして、私が何気なく見始めたのに最後まで見たのは、この映画の主役のおじいちゃんがなかなか良かったからだ(ルックスもかっこいい)。もしかしたら、主役は若いカップルじゃねん?と思う人がいるかもしれないけれど、これは間違いなくこのおじいちゃんに物語である。カップルのくだりはおまけ、はっきり言って。
いきなり、このおじいちゃんは銀行に行って、ある行員に話しかける。
「こんな計算ばっかりしてて、楽しいかね?そうだろ?嫌いだろ?じゃ、やめてうちに来なよ、うちではみんな好きなことをやってるんだから。」
いきなりである、ストレートである。
朝、仕事に行く時、とっさに自分の会社とは反対方向の電車に乗り込もうとしたことはないだろうか?あるいは、車通勤なら、曲がらなければいけない角を反対方向に曲がってしまおうと思ったことはないだろうか?
私はある。
だからって、そうしたことはないけれど、そうしたい気持ちは確実にあった。
だから、このおじいちゃんのセリフは、私たち見るものを引き込むのには十分なのである。私はそうして続きを見ることにした(いや、今働いてないので、昔を思い出してですけどね)
邦題は「我が家の楽園」というわかりやすいけど、深みのないものになっている。原題は”You Can’t Take It with You” 、つまり、「いくらお金持っていても、死後まで持っていけないよ」っていう意味。
そうなんだけど、まぁ、そんなに簡単に割り切れないでしょ、っていうところが、まぁ、「牧歌的」と言った理由なんだけど。
私は一番面白かったのは孫娘のセリフ。
You know he says most people nowadays are run by fear. Fear of what they eat, fear of what they drink, fear of their jobs, their future, fear of their health.
「おじいちゃんは、今は誰もが不安に動かされてるって言ってる。食べ物、飲み物、仕事、将来、健康。」
そして、
The people who commercialize on fear, you know they scare you to death so they can sell you something you don’t need.
「不安を商売にしている人たちは、不安にさせれば要らないものまで買ってくれるってわかっているのよ」
今でも全く当てはまるでしょ。
テレビの番組やCMを見ていると、不安をかきたてるものがあふれているもの。私はCS放送をよく見ているんだけど、CMの8割以上はそういうのですよ。
「そんなの、今更じゃん」って思う人もいると思うけど、この映画1938年公開ですよ。80年近く前ですよ、第二次世界大戦前ですよ。
うーん、これって恒常的っていうか、人間の本質をついいたマーケッティング手法なんだな、って思った次第です。
さて、最初にカルト的って書いたけど、そのおじいちゃんの家にいるのは、地下で花火を作ってるヒロインのお父さん、とか、タイプライターで脚本を書いてるおばぁちゃんとか、下手なダンスをしている妹とか、その妹にダンスを教えているロシア出身の怪しい男とか、「我が家の楽園」には訳のわからない変人ばっかりがドタバタしているわけです。
しかも、この「我が家」のシーンが全然笑えないんですよ。
うーん、・・・・。
正直言って、フランク・キャプラなら、やっぱ「スミス、都に行く」や「素晴らしき哉、この人生」の方が圧倒的に面白いと思うけど、仕事の事とかお金の事とかでうんざりしているなら見てみる価値があるかもしれません。
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